奇跡事【完結】



「簡単なモノね。さあ、あの女が泣き叫ぶ姿を見るのが楽しみだわ」

「どういう意味だ?」

「ふふ、さあ。どういう意味かしらね?」



そう言うとエレノアはすうっと姿を消した。


一人残された俺はエレノアの言葉の意味を考えていた。


サーシャの泣き叫ぶ姿?
どういう事だ。


不安が全身にべっとりと纏わりついているみたいだ。


トライシオンと結ばれるのなら。
……サーシャは幸せになれるんだ。


そう、信じ込むしかなかった。



その翌日。
サーシャもトライシオンも現れなかった。


だから、俺はうまくいったのかと思っていた。
それが違うとわかったのは、夜も深くなった頃。


誰かが俺の家の扉を数回叩く。
その音で目を覚ました俺は警戒しながら扉を開けた。


そこから現れたのは、涙で頬を濡らしたサーシャだった。


「サーティス!」


俺の顔を見るやいなや抱きついてくる。
突然の事で、うまく頭が回らない。


何故、こんな時間にサーシャはここに来たんだ?
トライシオンは?何故泣いている?


混乱しながらサーシャを見ていたらある事に気付いた。
サーシャの洋服が乱れている事に。