奇跡事【完結】



「何の用だ」


トライシオンを庇う様に前に立つと、俺はエレノアにそう尋ねた。


「私は貴方にいい事を教えに来たのよ?」

「……いい事なわけがない。ここから消えろ!」

「あら、いいのかしら。折角呪いが解けるかもしれないのに」

「……何だと?」

「ふふ。気になるかしら」

「ちょっと待って。兄さん。呪いって何の事だ?」


ガシっと俺の肩を掴んだトライシオンがそう聞いてくる。
俺は視線を逸らすだけで答える事はない。



「呪い。そうね。貴方も関係のない話じゃないかもしれないわね」

「やめろ!トライシオンは関係ない!」

「まさか、その呪いの所為で兄さんは僕を置いて一人になったのか?」


あまりにも図星で、俺は否定の言葉が咄嗟に出て来なかった。
それにエレノアは甲高い声で笑う。


「聡いわね。聡い子は好きよ。そうよ、その呪いの所為でサーティスはずっと一人でいるの」

「その呪いを解く方法を教えてくれ」

「トライシオン!?」


トライシオンを説得しようと腕を掴むが、それは振り払われた。
俺の事を一切見ずにトライシオンはエレノアを見つめている。