「おいっ、聞いてるのか!?」
ぐっと更に胸元を握る手の平に力を入れると、カタラが問い詰める。
それに、僕はぽつりぽつりと途切れながら口にした。
「……マークおじさんは…死んだよ」
「……し、んだ?」
「……」
再度、“死んだ”そう言うのは辛くて僕は視線を逸らすと、コクリと頷く。
段々とカタラの手の力がなくなっていき、その手から僕を解放すると一歩後ろに下がった。
どうやら、マークおじさんが死んだ事を信じられないみたいだ。
「……嘘、だろ」
そうやって、独白しているカタラを僕は見つめる事しか出来なかった。
「……だからか」
暫く黙っていたカタラが、そうぽつりと漏らす。
何かを納得した様に。
「だからかって…何が?」
「ああ。知ってるだろ?この村に入る事も出る事も簡単じゃないって事」
言ってる意味がサッパリわからない。
サーシャとキョウを見るも、二人とも首を傾げている。
知ってるだろ、とさも当然かの様に言うカタラ。
だけど、僕達は何も知らない。
やっぱり僕達には“知らされていない事実”があるんだ。



