奇跡事【完結】


その言葉に再度足を止めたカタラ。



「……全て燃えてしまったんだ」


キョウは顔を歪めると、悔しそうな声を出す。
サーシャがキョウにそっと手を伸ばすと、その手に自分の手を重ねた。



「どういう事だ」



真意を確かめるように、カタラが僕達を見つめる。
それに何も言えずにいた。


どういう事なのか。
それは僕達が知りたい。


「何があった。ケーラにはあいつがいただろ!」


怒りを含ませた声を出すと、カタラが僕達に近付いて来る。



ぐいっと僕の胸元を掴んだ。
サーシャとキョウの驚く声が聞こえたけど、次のカタラの言葉で誰もがその口を噤んだ。



「マークはどうした!マーク・デシーヴは!?」



この人、マークおじさんの…知り合い?
それに、マーク・デシーヴ?

それがフルネーム?初めて聞いた。


僕達はマークおじさんとしか呼んでなかったから。