「僕が生まれた場所」

「パチフィスタがか?」

「うん。ここはマヒアからそう遠くないんだよ。
僕はそこで生まれた。でも、家族はいないよ。僕が殺しちゃったから」

「……殺した?」


顔色一つ変えずに言ったパチフィスタ。
家族を、殺したと今言ったか?
俺の聞き間違いじゃないよな。


「僕ね、生まれた時から全て声が聞こえてたの。わかってたんだ。
だから、僕を殺そうとしたそいつらを殺してやったの。
それに、僕と同じ魔力を持つ兄もね」


淡々と独白するパチフィスタに、俺は生唾をゴクリと飲み込んだ。
そんな幼い時から持ってしまった殺意。


そもそも、双子はその強さ故に普通になんか生きられない。


もしかしたらあの時にいたのがエレノアでなく、俺とサーシャを殺そうとした両親だったのなら。
……俺も殺していたかもしれない。



白にも黒にもなりうるギリギリのラインで、俺達忌み子は生きている。紙一重なんだ。
そうして殺められた双子も、この世にはたくさんいるのかもしれない。