「そんな事が、……辛かったわね」

「……トライシオンは二回目だ。一度だって見たくない光景を二度も見てる。
ここだったら安心だと思うから」

「貴方は?サーティス」

「俺は一緒にいられない」

「……」



どうして、とは尋ねて来なかった。
それで何かを察したのかわからないが、どちらにせよ、話せなかったからそれ以上聞かれなくてよかった。


エレノアは俺の不幸を願っている。
俺と一緒にいるとトライシオンにまで嫌な思いをさせてしまう筈だ。


それはどうしても避けたかった。


トライシオンはずっと俯いたまま、何も言葉を発さない。
きっと心に大きな傷を負っているだろう。


それを俺じゃ癒してやれない。
俺の力では無理だ。


眉根を寄せ、いくら悔やんでも手遅れなんだ。
もしも、そんな話をしたってしょうがない。

全てが現在起こっている出来事なのだから。