「目つきが変わったわね。ふふ、素敵よ」

「俺が死ねばサーシャは殺されずに済む」

「貴方が死ねば?うまくいくかしら」


そう言った瞬間、エレノアの手の中にあった剣が俺に向かって飛んできた。
スパっと裂けた腕。
そこから血が流れ落ちる。


「っ、…………!?」



痛みに顔を歪めた俺だったが、その個所を見て驚愕した。
さっき確かに切れた筈の、その傷口がもう塞がっていたからだ。

痛みも感じない。
血だって流れていない。


〝流れ落ちた血″がそこにあるだけ。


「な、んだよ、これ」


俺は震える声でそう呟いた。


「不老不死になったのよ。サーティス。
感謝して頂戴。私が不老不死にしてあげたの」

「……何の為にこんな事を……」

「サーティスのいない世界なんて、私には不要よ」

「……」

「死にたいのなら、私を殺してから死んで頂戴」


エレノアはゆるゆると微笑むと、一瞬で目の前に現れて俺の頬に手を添える。
ひんやりとした冷たい手が触れた。


血が通ってないんじゃないか。
そう思えるほど。