「っ、さ、しゃ」


真っ青な顔でこの惨劇を見つめていた。
それから俺にゆっくりと視線を移す。


「……予備のカゴの場所、わかるかな、って…追いかけて来たの」

「……」

「……ねえ。何、その、手に持ってるの」

「え?」


サーシャに言われて、俺は手に剣を持たされた事を思い出し、すぐさまそれを離した。
剣がカランっと音を立てて地面に落ちる。


真っ赤な血で染まった剣が。



「サーティス、貴方が……やったの?」

「俺はやってない!」

「じゃあ、それは何なのよ!!」

「これ、は……」


エレノアの恵みのお陰で生きていけるんだとサーシャは言っていた。
なのに、この惨劇を生み出したのがエレノアなんて言ったってきっと信じてくれない。


言葉を詰まらせた俺を見て、サーシャは俺がやったと思い込んだだろう。
俺に近付くとドンドンっと胸を叩く。


「何でっ、なんで、こんな酷い事!こんな、こんな!」

「……」

「許さないんだから!」


そう言うと、地面に落ちた剣を拾い上げる。
それから、目に涙を浮かべたサーシャは俺へとその剣先を向けた。