今日も俺は稽古を終えた後、サーシャと共に山菜を採りに森に向かっていた。
珍しく、トライシオンも採りに行くと言うから三人で並んで歩く。


「あ、それ。それ美味しいんだよ」

「これ?」


サーシャに言われて、トライシオンは小さな赤い果実に目を凝らす。



「うん。甘いから食べてみて」

「このまま食べていいの?」

「平気」


トライシオンは恐る恐るその赤い果実に手を伸ばした。
それを摘むと、一度サーシャの顔を窺う。
が、笑顔のサーシャを見て果実に視線を戻すと、ぱくりと口の中に放り込んだ。


口に入れて数秒。
不安げだったトライシオンは、キラキラと目を輝かせる。


「美味しい!」


そう感嘆の声を漏らすと、サーシャは誇らしげに「でしょー」と言って笑った。
それからトライシオンはたくさんその果実を摘んでいた。