俺はその洞窟を出ると、魔法で母親の元へと移動した。
強くなりたかった。

だから、その為に時間が欲しかった。


次にサーシャに会う時は、強い俺でありたかった。


サーシャに事実を隠し通す必要もあったんだ。
俺の妹だという事実。


双子の片割れだと。


いつ振りだろうか。久しぶりの我が家。
やっぱりここが俺の家なんだと改めて思った。


自分の家の扉を開けると、

「ただいま、お母さん。いる?」

そう声をかけて中へと入った。



母親は台所に立っていて、俺の姿に気付くと目を真ん丸に見開いて驚いていた。


「さ、サーティス!」


懐かしいその顔がくしゃりと歪む。
泣きそうな母親に、俺は苦笑した。


「久しぶりだね」

「サーティス、もう会えないと思ってたから。
ああ、よかった。無事でいてくれて」

「無事だよ。そうだ、お母さん。俺、妹に会ったよ」

「本当に?生きていたのね。会えるなんて。
積もる話もあるだろうし、座って頂戴」

「そうだね」