“私ね、サーティスと会うの初めてじゃない気がするんだよね”


初対面なのに、どこかサーシャは心の内側に入り込んでくる感じがした。
サーシャも懐かしい気がすると言っていた。


妹だから。
そう言われたなら、納得出来てしまう。


俺が心を許したのはそんな理由だったんだと。



……愛して、しまったじゃないか。


全てを欲して、行動に移してしまった。
サーシャに触れてしまった。

実の、妹に。


その罪はどこまで重いのだろうか。


サーシャに言えるわけない。
俺を好きだと言ってくれたサーシャに、妹だったなんて事は言えない。


茫然としてる俺に、エレノアが話しかけてくる。
その言葉をハッキリ聞いてる筈なのに、どこか耳を通り抜けているようで思考が定まらない。



「少しだけ眠って貰おうかしら。
貴方を今ここで殺さないだけ、有難いと思って頂戴。
サーティス」


エレノアはすっと手を上げると、ゆっくりと広げた。
それから、息を吹きかけ何かの粉を辺りに撒き散らす。


それを吸い込んだ俺は、段々と思考がぼやけていく。
薄れゆく意識の中、エレノアの言葉だけが耳に届いた。