愛しい人の声。
振り向くとサーシャは笑顔を見せた。
それから俺に近寄り、隣に腰を下ろす。



「起きてたのか」


そう言うとサーシャは頷く。


「前もそうだったでしょ?」

「前?」

「昔もここを出る前日にサーティス、こうやって空を眺めてたじゃない」

「そういえばそうだな」

「サーティスって一見して凄く怖そうなのに、とっても優しいよね」

「なんだ、それは」


俺がムッとした顔をすると、サーシャはクスクスと笑う。
そんな無邪気な笑顔を見てしまうと俺の頬もすぐに緩んでしまうのだけど。


「トライシオンにだけじゃなくて、皆に平等に接してくれる」


そう言って、サーシャが空を仰ぐ。
その横顔を俺は黙ったまま見つめた。