「とりあえず、森を抜けてみようよ」


それ以外、思いつかないからそう僕が提案すると二人は顔を見合わせて頷いた。


「行くか」

「うん」



三人並ぶと、僕達は大好きだったこの村を出る為に歩き出した。


「……」


少しだけ立ち止まると、もう跡形もなくなってしまった村を見る。


歴史を語れるほど、ここにいたわけじゃない。
慣れ親しんだこの村がなくなって、離れるというのはどうしたって寂しい。


だけど、僕達は行かなきゃならない。



煤になってしまった村に、ぽつり。


「……サヨナラ」


そう告げて、僕は前を向いて二人の元へと走って行った。