奇跡事【完結】


「……」

「……」

「こ、これは決してお腹が空いてたからとかじゃなくて、違うんだよ!」

「お腹空いてたのか」

「何も食べてなくって、って違う、けど、お腹空いてなんかなかったんだからね!?ちが…」


必死に弁解するサーシャも虚しく、そこまで言いかけてまたお腹が鳴った。
今度はさっきよりも大きく。


サーシャはぴたりと動きを止めて、視線を彷徨わせながら顔を赤くする。


「……ふ、はは」


それがおかしくて、気付けば笑っていた。


「な、何笑ってるの!」

「さっきから食え食えって言ってたのは、自分が食べたかったからか」

「違う、違うから!あ、信じてない!」


真っ赤な顔をして喚くサーシャ。
その姿を見て自然と口角が上がっていた。


ああ、久しぶりに笑った気がする。