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「ああ、なんという事だ」



ずっと、暗い中に押し込められていた。
やっとの事で明るい外へ出たというのに。


そんな声が降ってきたんだ。


ぼんやりとする視界の中。
目に入ったのは、自分の事を怪訝そうに見つめる大人達の姿だった。



「……な、んて事」

「待ち侘びていたのに」

「エレノア様を呼ばなくては」

「そうね、呼んで来るわ」



―――――エレノア?誰だ。



すぐに訪れた人物は、ローブで全身を覆われていた。
顔は見えないが、自棄に妖しく紅く光る唇が不気味だ。



「……この子と、この子かしら?」

「はい、そうです。ああ、まさか、娘から双子が産まれるだなんて」



双子?
……双子って何だ?


ふっと、隣に視線を移せば無邪気に涙を流している小さな赤ん坊が見えた。


……こいつは?……俺の妹?