奇跡事【完結】



「俺にもわかるよ。凄い魔力だ。マークが隠したがった理由がわかるな。
エレノアの手に堕ちてたらどうなってたかわからない。
……辛かったな」

「……」

「俺のとこに来たカノ……、じゃない、エレノアか。エレノアが言ってたんだ。
サーシャとサーティスは一生、その呪いから逃れられないと」

「あーあー。その話は僕がするよ。
サーティスと、サーシャの話」

「何か知ってるのか?」

「知ってるよ。全て。だけど、僕が言う事じゃないと思ってたから、今まで言わなかったの」


僕は口を尖らせるパチフィスタをぼーっと見つめた。
そんな僕に気付いたパチフィスタ。


「ルーイ。聞く覚悟ある?」

「……」


そう言うと、パチフィスタは僕の血だらけの手をぐっと掴む。
急に触れた手は……、温かくて。


それがゆっくりと伝染していって、少しずつ僕の体に温度を取り戻させた。