パチフィスタはしゃがみ込むと、カタラの腕に手をかざす。
その手から淡い光が灯って、それは傷口を包み込む。
少しだけ眉を顰めるパチフィスタ。
どうやら、パチフィスタでもこの傷を治すのは容易ではないらしい。
いつも涼しい顔で笑ってるのに。
「ごめんね。僕、知ってたんだ」
「……」
何を?そう思うけど、それは言葉として出てくれない。
喉の奥が気持ち悪い。
僕はぎゅっと唇を噛み締めて、パチフィスタを見る。
「カタラの腕にエレノアが呪いをかけた事」
「!!」
驚いて目を見張る僕に、パチフィスタはふって笑う。
「ルーイは優しいんだよ。だけど、その優しさは命取りになる。
優しさだけじゃ誰も救えない」
「……」
「もしも、カタラの腕を切り落とせないのなら……サーティスもエレノアも殺せないと思った」
パチフィスタはそう言うと、僕から視線をカタラへと移す。
さっきまで流れていた血液は止まり、苦痛で歪められていたカタラの顔も少しだけ穏やかになった気がした。



