奇跡事【完結】



「……っ、はっ、はあっ、る、い……。助かった」


既にない腕を抑えるカタラは、そう言って顔を歪めながら微かに微笑んだ。


「あ。か、たら……」


僕が、その腕を切り落とした。
僕が。


ぶるぶると小刻みに揺れる手。
カランっと音を立てて剣が手から滑り落ちる。


震えた手を僕は広げて、息を飲む。
その手の平には真っ赤な、カタラの血液がべっとりと付着していた。


足の芯から冷えて、頭が真っ白だった。


その時。


「よくできました」


唐突にそんな声が聞こえて、現れたのはパチフィスタだった。