しっかりと握ると、その剣を大きく振りかざす。
ドクンドクンと心臓が鳴って痛いぐらいに、全身に響き渡る。
今まで、誰かを傷付けた事なんてなかった。
それはこれからもそうだと思ってた。
マークおじさんの敵を討つ?
誰も傷付けないで、そんな事出来るわけない。
“……弱いのは、ルーイ。貴方の心よ。”
僕は、弱い。
こんな魔力を持っていたって、弱い。
カタラを救いたい。
僕の魔法でどうにもならないなら。
それなら。
ぎゅうっと剣を持つ手に再度力を込める。
それから、思いっ切りそれを下ろした。
「う、ああああああああああっっ!!!」
カタラの叫び声と共に、ぴしゃりと僕の顔には血液が次々に飛び散る。
真っ赤に染まった手の平。
流れる鮮血と、落ちた腕。……とは、もう言えないかもしれない黒い物体。



