奇跡事【完結】



「残念ね。私が力を解放してあげたかったのに。解放してしまったの?」

「何が、目的なんだ」

「ねえ。あの人はそこの女を殺す時に、どうだった?」

「……は?」



そう言うと、エレノアは床に寝かせたサーシャに視線を移す。
笑みは崩さずに。


「どう、だったって」


殺した時?
サーティスがサーシャを殺した時、どうだった?

何を、聞いてるんだ。


意味がわからない。
言葉に詰まる僕にエレノアはまたクスクスと笑った。



「サーティスは笑ってた?泣いてた?それとも、怒ってたかしら?」


エレノアは人差し指を唇へと持っていくと、ニタアっとその口元を三日月の形にして笑った。



「愛してる女を殺したサーティスは」



……愛してる、女?

それって、サーシャの事なのか?



「ルーイ…、聞くな!」



床に蹲っていたカタラが、苦しげな顔をこちらに向けるとそう叫んだ。