奇跡事【完結】



一瞬でカタラの元に移動した僕は、その光景を見て目を疑った。
月明かりに照らされ、薄らと見えるカノとカタラ。


カタラは治してもらったはずの腕を抑えて蹲っている。
そして、その傍らに立っていたカノ。


不気味な微笑を顔に乗せて。



「……カノ、何してるんだよ」


僕はサーシャを床へと下ろすと、二人に近付く。
カノの瞳は妖しく光っていた。



「カレノア」


カノがぼそりとそう口にした。


「……カレノア?」


それが、カノの名前?
僕がその名前を反芻すると、カノがちらりと僕に視線を向けた。

その視線だけで、背筋にゾクリと寒気を感じた。


妙に妖艶な唇が言葉を紡いでいく。


「私の、双子の妹の名前よ?ルーイ」

「……」


やけに真っ赤に浮かび上がるカノの唇は尚も動き続ける。