奇跡事【完結】


「……キョウ」

「っ、サーシャ、俺は、サーシャがいれば」

「……ごめん。でも、私……わかった、んだ」

「……」

「私が、死なないと、終わら…なかったんだよ」

「意味が、わからない」

「……これは……、きっと運命、だから」


段々とその顔から血の気が引いて行く。
サーシャは涙を流しながら、笑って呟いた。


「……二人とも、大好きだよ」


そして、その瞳を静かに閉じた。
パタリとサーシャの手が力なく落ちて行く。



「……さ、……しゃ」

「……サーシャ」



涙が溢れては止まらない。
キョウは涙を流したまま、ゆらりと立ち上がる。


その瞳は虚ろだ。


「……サーティス」


サーティスの方を見ると、キョウが一瞬で間合いを詰めた。
それに驚くのは僕だけじゃない。

サーティスも、パチフィスタもだ。


こんなに動きが速いキョウを見た事がない。


サーティスはそれを寸前で躱そうと体を後ろに動かした。
だが、全てを避けきれずサーティスの頬に真っ赤な線が出来た。