「……村?」
「そうだ!その血は俺達の友人に手をかけたんだろう!?」
「……友人」
声を荒げるキョウとは裏腹に、彼の表情は一切変わる事なかった。
淡々と返す、その男にキョウは奥歯を噛み締める。
今にも殴りかかってしまいそうな、息も詰まる空気。
そんな空気には全く以て相応しくない笑い声を彼が発した。
それはとても嬉々としていて、何がおかしいのか僕にはさっぱりわからない。
「……ああ。
邪魔だったから、な」
「な、んだって?」
「俺の視界に映り込んだ。
だから、殺した」
そして、また喉を鳴らして笑うとその男は顔を歪める。
ふるふると震えて怒りを我慢していたキョウは、その言葉で弾かれた様に男の元へと走った。
「ふざけるなっ!!」
「キョウっ!?」
護身用にといつも身に着けていた短剣を取り出すと、その男めがけて振りかざす。
僕の体が動いた時、キョウは既に彼の目の前まで向かっていた。



