「知ってたんだよ。魔法を使ってる事。
だけど、言えなかった。俺が側にいるからいいと思ってたんだ。
プリルが来てから、お前は笑うようになったから」

「……俺が?笑ってた?」

「ああ。とても優しい顔でな」

「……それは、プリル、が…いたか……らっ」


また、俺の片方の瞳から涙が溢れて頬を伝っていく。
プリルが側にいたら、俺は自然と笑顔になっていたんだ。



「……く、ふっ、プリルっ」

「カタラ」

「独り、にして」

「……わかった」


マークは悲しそうな顔をしながら、ゆっくり俺から離れていく。
俺は一人。

体温のないプリルの体を抱き締めて、俺はいつまでも声を上げて泣いた。



この日から、俺は自力で魔法を使う事を辞めた。
俺に使う資格なんてなかったから。