「……愛して、たのに」



人より少し強いだけの、この魔力なんて無意味だ。

愛する者、一人救えやしない。



愛する者の為に、使おうとした。
だけど、無力だった。


俺の命を差し出してもいいから、彼女だけは助けたかった。


欲しいのなら、俺の瞳なんていくらでもくれてやる。
俺が欲しいのはプリルだけで、瞳に映る光景なんかじゃない。


プリルの笑顔は俺の脳裏に焼き付いていた。
だから、例え二度と見ることが出来なくたって、よかったんだ。


綺麗な光景なんて、目に出来なくたっていい。
他の全てを引き換えにしても、プリルさえいてくれたら。



「……カタラ」



その時、俺の背後から声がした。
ゆっくりと振り向き、その人物を視界に捉える。


「……マーク」


息を切らしたマークは、眉を八の字に下げて俺と、……プリルを見た。
息絶えているプリルの姿を見ると、顔を歪ませた。