奇跡事【完結】


「おい!ルーイ」

「うん」


キョウと僕もその後に続く。
走って村に辿り着いた時、そこは。




――――――――火の海だった。



ゴウゴウと燃え上がる炎。
パチパチと焼けては崩れて行く。


唖然として、その光景を見つめた。




「……な、にが」


何があった。

そう、言いたいけどサーシャの言葉はそれ以上出て来ない。


想像もしていなかったこの光景に、僕達は絶句していたんだ。


さっきまで笑顔が溢れる僕の大好きな村だったのに。



「おじさん!?」


そこに倒れているマークおじさんを見付けて、サーシャが駆け寄った。
僕達もそれに続く。



マークおじさんの体を持ち上げて、顔を見る。
火に照らされてるのに、マークおじさんの顔は青白い。


そして、目を背けたくなるほどの出血。


マークおじさんは薄らと目を開けると、サーシャを視界に捉える。
それからゆっくりとその口が動いた。


「……、サ、…シャちゃ、ん、かい?」

「おじさんっ、何が、何がっ」