悲しみより先に、怒りの感情が湧き上がってきた。
淡々と何の感情も無く彼のことを話す警察官が、
彼をはねた運転手が、
憎い――・・・
毎日毎日、学校にも行かないで部屋でそんなことばかり考えていた。
でもね。
ある日、気付いたの。
“憎い”
そんな感情を持っていても、何も生まれないんだってこと。
憎しみに囚われていても、君は絶対に喜んだりしないんだってこと。
あのね。
私、覚えてるよ。
君の、あの言葉。
「悲しい時こそ、笑うんだ。
辛い時こそ、笑うんだ。
そうしたらさ、
背負ってるものとか、抱えてる悩みとか。
何でも、軽く思えてくるんだよな」
って。

