戦争で、私は好きな人と好きな女の両方を失った。そう思いたかった。でも思えなかった。私は戦争が悪い。国が悪いと思えない。全ては自分の覚悟の足り無さによるもの、悪いのは自分だ。
自分が可愛い、ただの屑なんじゃ
老人の独白は涙で一時、中断した。
「昭蔵さん、俺は自殺なんかしない」
半身を起こして男は強い口調で老人に言った。
「たとえ、昭蔵さんが俺にその先輩を重ねているのがわかったとしても、そんなもんは、なんにも関係がねぇ。俺は昭蔵さんの前からいなくなったりはしない。約束する。
だから、やめてほしい。もう自分を責めるのは、やめてくれ。アンタの体はアンタだけのもんじゃない。大事にしてくれ」
「わしには、一路君がまぶしすぎる。もう……わし……」
男は老人の両肩を強く掴んだ。
「昭蔵さんのことが好きなんだよ! 死ぬまでそばにいるからな。
勝手に死のうなんて思うなよ。哀しいこと言うなよ」
***
自分が可愛い、ただの屑なんじゃ
老人の独白は涙で一時、中断した。
「昭蔵さん、俺は自殺なんかしない」
半身を起こして男は強い口調で老人に言った。
「たとえ、昭蔵さんが俺にその先輩を重ねているのがわかったとしても、そんなもんは、なんにも関係がねぇ。俺は昭蔵さんの前からいなくなったりはしない。約束する。
だから、やめてほしい。もう自分を責めるのは、やめてくれ。アンタの体はアンタだけのもんじゃない。大事にしてくれ」
「わしには、一路君がまぶしすぎる。もう……わし……」
男は老人の両肩を強く掴んだ。
「昭蔵さんのことが好きなんだよ! 死ぬまでそばにいるからな。
勝手に死のうなんて思うなよ。哀しいこと言うなよ」
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