地球の三角、宇宙の四角。

権堂さんはわしを弟のように慕ってくれて、よく権堂さんの彼女と3人で遊んだ。


夏には3人でプールに毎日のように行った。楽しかった。権堂さんの彼女をほったらかしにして2人で将棋ばかりを指していた。

権堂さん、将棋が弱くてね、でも、わざと手を抜いたらすぐにバレた。

権堂さんの彼女は希実子さんという人で、毎日作ってくれたお弁当の中に必ず入っていた少し水っぽいだし巻き卵。あれは絶品だった。

権堂さんは自分が負けるのがわかると、将棋盤をぐしゃぐしゃにして私と希実子さんをプールに落として、自分も飛び込んだ。やけくそになったみたいに両手でばしゃばしゃと水面を叩き。水をざぶざぶとかけられた。私も希実子さんもざぶざぶと水をかけた。

かき氷にアイスの棒をさして3人でひとつのかき氷を食べた。

いつも棒を倒してしまうのは権堂さんだった。

この夏が永遠に続けばよい。そう思った。

しばらくして、私の住む田舎町にも国の役員がやってきた。ある年齢に達した男子を兵士として集めるために赤い手紙を配って回った。徴兵制度だ。

私の年齢はちょうど境目に当たり志願することも出来た。

私は、迷うことなく志願した。日本男子たるもの。お国のために。そういう時代だ。国をあげての洗脳により私は国のために戦えること、それと権堂さんと一緒にいれることを喜んだのだ。