地球の三角、宇宙の四角。

まだ準備の出来ていない私の中に荒々しく壁をめくるようにしてかなくんが入ってきた。

奥の方まで刺し込まれ、これ上進めないという所で止まって、全身が痺れた。

手首を強く掴まれると奥の方から上がってきた声は、喉元から吐き出た。その口を塞がれる。

塞がれたまま、息も出来ないほどに長く、五感全てが波紋のように広がった。

隔てていたもの何もかもが全て無くなったように感じた。


このまま、ただ……。このまま消えてしまいたい。


うるさい声は何も聞こえない。今、壊して欲しい。何も考えたくない。

重たい衝撃が何度も奥に当たった。カラダが覚えている。消えてしまいたいと願う。なのに生きることにしがみつくようにして背中に爪を立ててしまっていた。

奥を強く突き上げられる度にカラダの奥の方から新しい私が古い私を突き破るようにして生まれてくる。

生まれてきては何度も頭のてっぺんを突き抜けるようにして私が通り抜けていく。

何人もの私が生まれては死ぬ。その、打ち寄せる波の間隔はどんどんと狭くなっていった。
押し寄せる波に飲み込まれ、かき回された私は上も下も、左も右もわからなくなる。息が出来なくてもがいた。だけど、もがけどもそれが底へと向かっているのか、水面にむかっているのかが、わからない。
ぐるぐるぐるぐると回転する。

回転の中で老人と出会った。

老人は私の手を握り、ありがとう。ありがとう。と涙した。

しわしわの老人の手は冷たくて、私の全ての熱が吸い取られた。


気が付くと大量の私の死体が波打ち際に転がっていった。