「先生、何を!」と母が先生に飛びかかる。呼吸を止められて苦しくて手足をじたばたとさせる。ああ私、手と足を動かせるんだ。
ただ、勢いよく動かそうとするも水の中のようで、ままならない。

私の口を押さえる先生の肩を、母はやめてくださいとポカポカ叩く。
それをあわてて母を後ろから課長が押さえる。

冷たい手と指が鼻と口から離れて、私はぜいぜいと規則正しく息をする。

お母さんもぜいぜいと息を乱している。

「お母さん、乱暴な真似をしてすいません」坂上という院長も、ぜいぜいと肩で息をしながら目に掛かる前髪を払ったあと、私の唾液でべしょべしょになった手の平を少しだけ匂ったのを見た。

さっきの状態が過呼吸のような状態であり、ビニール袋とか用意する方法もあったが荒療治をしたことを母に詫びていた。
母は要領を得ない顔で頭を下げていた。

院長の話を3人で聞いた。院長は、写真を見せながら淡々と話し始めた。