「ごめん、さおりん。私の記憶違いかもしれないから」
今日を二回繰り返しているというのは、私だけが感じていることで昨日の出来事として、私だけが記憶している。
「ちょっ、ちょっと待って」
さおりんは、資料をパラパラとめくりながら話し出した。
「平純一やタイターのいう平行世界や世界線なんだけど……こういうことなんだよね」
ある資料を指差した。それは何本かの線が平行に引かれており、それぞれが枝分かれしていきながら流れているという図。さおりんは真剣な顔で、次の資料を探しながら、
「はゆみは、幸村さんって人がいた世界線から、いない世界線へときたんだよね。それってどうやってきた事になるの?」
さおりんが資料の束から二枚を差し出した。一枚は平純一の自然発生したブラックホールの正体と、それに取り込まれた場合が詳細に書かれたもの、黒い物体の正体の資料。もう一枚はタイターの乗ってきたとされるタイムマシンの構造と重力制御装置についての詳細。
「どうやって、て……」
「はゆみ、私にとっては、はゆみは、はゆみだよ? 元に戻るって一体どうやって元に戻るつもりなのさ?」



