地球の三角、宇宙の四角。

さおりんが身を乗り出して、私の持つ資料をごそごそと探った。

「あー。ここ、これこれ」

指差した資料は、“幸村総一郎”に関しての記述だ。

「ゆきむら そういちろう?」

「うん。平純一のサイトにしてもタイターの関連のサイトにも幸村総一郎という人物はキーマンであるのね、ただ……珍しい名字ではあるけど、とても巨乳の美人OLって感じではないんだよね。男の人なんだよね」

眼鏡を外した幸村さんが頭に浮かんだ。

「とーさん」

「へ?」

さおりんは首をかしげている。

頭の中には、とーさんはトンデモな町の発明家なんだよーという声が響き、幸村さんの笑い顔が浮かぶ。

「……いえ、私の知ってる幸村さんの、お父さんかもしれない」

タイターの資料を読むと、第三次世界大戦に深く関わる人物であるという記述はあるが、詳しくは大きく未来が変わるので書かないし、書けない……ペルーの地震と同じか。

しかし平純一の資料には、日本人の発明家と名前こそ伏せてはいるが、はっきりと2020年の日本地図にも関係する、第三次世界大戦の引き起こした原因のひとつとして、彼の“超小型発電装置の発明”によるところが大きい。と、書かれてあった。

その発明家か誰なのかを特定するためにフリーエネルギーの研究や半重力、それにまつわる日本人の研究者、発明家のリストの中に有力候補として幸村総一郎という人物が上がっている。

ただ、本当に、平純一の言う日本人の発明家とタイターの言う発明家は、幸村総一郎であるのだろうか。

資料を見ると、そう考えるのが当たり前だという根拠だらけの羅列であり、自然だと思える。だけど……。

第三次世界大戦。

そんな未来って、本当に来るのだろうか。