「さおりん、ジョンタイターって誰?」
「うん。ゲームとかアニメにもなったシュタインズゲートって知ってる?」
「知らない」
「ジョンタイターとリンクしながら作られた創作物なんだけどね」
「ジョンタイターっているのかな? いたのかな?」
「うーん。あっしは平純一の摸倣なんじゃないかなと思う」
「平純一はいると思う?」
「え? それは……」
さおりんの顔が曇った。
私は、平純一とジョンタイラーどっちも存在しないとは思えないし、思いたくもない。私の経験したことは、この資料の通りだ。
タイムトラベル理論だとか宇宙の仕組みは解らない。だけど今確実に違う世界線に来ていると思いたい。だから、
どっちも存在する。もしくは、どちらかは存在する。そう思いたい。
2人には共通点が多い。予言めいたことの殆どが重複していた。
たしかに時間軸で考えたときジョンタイターが平純一を摸倣しただけである可能性は十分あるし、平純一という人間も、頭のいい人のただの暇つぶしであり、遊びである可能性もある。
ただ、どちらも嘘だとしたら。
どちらも誰かの空想の人物であるのなら、私が体験したことや、私が今考えていることのすべてにおいてまるで整合性が得られない。私が私自身を否定することになる。
パラレルワールドという概念、平行世界や世界線という言葉。
それらの言葉を私が否定したら、私はただのキチガイでしかないではないか。
信じたい。
頭の中が一杯になり、手に取った資料の内容が、うまく頭に入ってこない。
あれ?
これって……



