地球の三角、宇宙の四角。

「そのときってさ、さおりん、どこまで覚えているか気になった?」

「え? うん。そりゃ先輩に聞いたさ。きのう、私、変なコトしてませんでしたか? とか」

笑いながら、話してくれた。たぶん、私の今の状態に気を遣ってくれたのだろう。

「それで? それで?」

「さおりん途中からお地蔵さんみたいになって、お客さんの席についてもずっと頷いてるばかりだったよって聞かされて」

「かわいいー」

「でしょ? わたし、かわいいんだって! 安心したよー」

「だよね。あばれたりとか、そういうのって……」

自分がついさっき、暴れて発狂するところを思い出してしまった。

「そうそう、あとにも先にもさ、記憶が飛んだのは、それ一回キリなんだけどさ、それまで記憶が飛ぶのとかって信じられなかったんだよね。

ちょっとぐらいは覚えてるだろーとか。でもさ、ほんとに覚えてないってことってあるんだよね。

怖い……よね」

私の顔色を見てさおりんのマシンガントークが衰えた。

「……そうだよね、わたしも、記憶が一部飛んでて」

「ごめん、はゆみ」

「いいの、そういうのじゃなくて、あの、ただ、知りたいの。ホラ、さおりんがさ、記憶が飛んだ部分を聞いて確認したかったように、私も」

そういうと素の顔になったさおりんは、ゆっくりと話し出した。