しりもちをついたまま声をかけられている力の抜けた映美の顔は明らかに僕の好きなはゆみちゃんで駆け寄るエネルギーが全開になった。「ああ、すいません」と男性に声をかけて、両脇を抱えて持ち上げようとすると、「ぐっ」と声を漏らして苦しそうにする映美がいて、目を合わすと眼球が小刻みに震えていた。
なにがランチだ。なにが服はフリーサイズだ。白いワンピースに赤いカーディガンだ。俺はバカか。「はゆみ、はゆみ」と呼びかけると「また、記憶が飛んで……頭が」と苦痛に顔をゆがめている。
その顔はいつのまにか映美の顔で、「かなくん、び、病院に私、もどらないと」と、言う。
目を合わせていられなくなり抱きかかえたまま外に止まっているタクシーに会釈をして乗せた。
ドスンと奥に座らせて、その横に座ると隣にははゆみちゃんがいて、「あれ? なに? わたし」と驚いている。こんなにもクルクルと入れ替わるのは初めてのことで驚いたが、そのことはやっぱりどちらにも伝えられない。
かける言葉が思いつかないまま手をぎゅっと繋ぎ直した。
そして、運転手が何処までですかという問いに答えることが出来ずに、しばらく沈黙が広がって、手にびっしょりと汗をかいた僕の手は握り返された。
なにがランチだ。なにが服はフリーサイズだ。白いワンピースに赤いカーディガンだ。俺はバカか。「はゆみ、はゆみ」と呼びかけると「また、記憶が飛んで……頭が」と苦痛に顔をゆがめている。
その顔はいつのまにか映美の顔で、「かなくん、び、病院に私、もどらないと」と、言う。
目を合わせていられなくなり抱きかかえたまま外に止まっているタクシーに会釈をして乗せた。
ドスンと奥に座らせて、その横に座ると隣にははゆみちゃんがいて、「あれ? なに? わたし」と驚いている。こんなにもクルクルと入れ替わるのは初めてのことで驚いたが、そのことはやっぱりどちらにも伝えられない。
かける言葉が思いつかないまま手をぎゅっと繋ぎ直した。
そして、運転手が何処までですかという問いに答えることが出来ずに、しばらく沈黙が広がって、手にびっしょりと汗をかいた僕の手は握り返された。



