地球の三角、宇宙の四角。

僕の声で飛び起きたはゆみは男を見て「きゃぁああ」という声を上げ、布団を大きくかぶった。

追いかけるが男の後ろ姿には、もう少しのところで追いつかない。

走る横を、なにかが追い抜いてく、なんだろうか―

後ろからはふわふわくんという叫び声――


ふわふわくん?

ぴよこぴよこと四つんばいで走っていくふわふわくんに追い抜かれる。

ふわふわくん?


フォークを持った老人は布団を引きはがす。

そして振り上げた。

「はゆみぃぃいい!!」

引きはがそうと肩に手をかけたが、振り上げたフォークは振り下ろされた。

ザクリ。

肩にかけた手から衝撃――

ナイフと首のあいだに飛び込んだわふわくんの背中にフォークが突き刺さった。

「ふわふわくんが、ふわふわくんが」

幼女の悲痛な声。

フォークを抜き、もう一度振りかぶった男。背中から綿がこぼれ、タンポポの種みたいに舞った。

ふわふわくんは、中身を少しだけはみ出させながら次の一撃を反転をしておなかで受け止めて、フォークを両手で掴んだ。

男は言う。

「ブロッサム=ジョンか?」