地球の三角、宇宙の四角。

でも、幸村さんの話が、あながち嘘じゃないことぐらいはわかる。

いままで色々な数字を見てきたが、そう考えると、おぼろげながら数字ひとつひとつがつながっていくような気がした。

素材の重量や火力の量、加速度にG、軌道の計算。照準との誤差。

たとえば飛行中の戦闘機がミサイルを発射して戦闘機に追尾して当てるなんてもののプログラムの一部だとしたら、あの数字の羅列や見たこともないような金額にも、納得がいく部分もある。
でもまさか自分がそんな事に携わっていたなんて。

「持ってなかった?」

スッ、と。ラッキーストライクのボックスから突き出る一本。

それを会釈してからつまんだ。

「ライターもない?」

「ないです」

「もー」

「すいません」

透明の100円ライターを受け取ったときに手と手が触れて「しょうゆ」の冒頭のシーンを思い出してしまう。さらに、これ、ここをこうしてからこうすると火がつくからと幸村さんの長い指が覆い被さる。

「大丈夫です大丈夫です」と、小さい字を読みながら必死になって火を付けた。(なんだよこのチャイルドレジスタンス!)

外で花壇に座り2人で吸う煙草の味は、興奮状態も相まってとても美味しく感じた。

「カメラのレンズをつくっている会社だとばかり思っていました」

「もちろんカメラのレンズやセンサーもつくってるわ
あと、癌治療器もつくってる。知ってる?」

「ガン治療器。つくってるんですか?」

「そう、癌治療器ってね。
実際は陽子線やら、重粒子線を発生させるレーザービーム砲みたいなもんなのよ。あれ」

「レーザービーム?」