地球の三角、宇宙の四角。

「数字がピッタリ合ったときは面白いなぁと思います」

いや、今の部署では私のほうが先輩のはずなんだけどな。

「そう、まぁ座りなよ」

幸村さんの横に座って、ごそごそと煙草を取りだす仕草をする。煙草の入ってないポーチの中から煙草を探す。これで煙草が出て来たら奇跡だよ。奇跡と書いてイリュージョンと読むだよ。

ここらで、あっ無い!ってセリフが良いだろう。そうだ。これで完璧だ。せーの! あっって言いかけた時だ。

「庄谷の言ってる事なんてね、話半分で聞いてりゃいいよ、あんまり気にすることないよ」

「は、はい」 

「あのバカは、なんにも見えてないから」


見えてないと言えば私だ。

「やりにくいったら、ないわ」


先輩か後輩でいうとエミさんが3年も先輩。なんだけど、今の仕事は私の方が先輩。なのに、仕事で扱う数字がまるでわかってない。幸村さんは、どれだけわかってるのだろうか?

そのことについて、いよいよ聞いてみようかと思った。

「恥ずかしい話なのですが」

「なに?」

「自分が扱ってる数字のこといまいち理解してなくて」