あのうと声をかけるとビックリした顔で飛び起きてから一路君はキョロキョロろしながら携帯電話を探して画面を見てから大きなため息をついた。

「そりゃ、そうだよなぁ、しかたないなぁ」そういいながらゴロゴロとしている。

私のことは見えないのだろうか、肩に触れてみるとびくんとする。

「ええ?」

触れた位置をさわって一路君はキョロキョロとしている。ああ、そうか見えないのか、そのまま頭を踏みつけるようにすると思ったとおり足が頭の中へと消えていきそのまま一路君と同化するこになった。

意味なんて無い。試してみたらそうなった。というだけだ。好奇心といえばそうで、なんとなくそう思ったから。

前からそうしてみたかったという積み上げでは全然なくて、なんとなくそうしたらそうなった。

完全には同化しきれないようだ。そもそもこの世界は私の脳のアイドリングというか暇つぶしによるイメージで、夢。

夢の中で夢であると気が付いた時に、普通の男の人だったら、片っ端からおっぱいを揉んだりするのだろうけど、わたしにはそういう単純でストレートな衝動がないのが少し哀しい。いつも思う事があって、小さい頃は立ちションしてみたかったし、今でもナンパとか何でもして色々なかわいい女の子から好き好き言われてみたいなんてたまに思う。

多くの女の人は思う事なんだと思う。それは無いものねだりかもしれないが、その突き抜けて絶対的ないい加減さと、ただヤル側というのに憧れる。

なぜか女というのは、どこまでいってもヤラレル側なのだ。

だからといって男として産まれていたとしたのならモジモジと長いこと童貞をこじらせているように思うから困る。

そもそも、そんな私という人格をこじらせて腐らせて、ここまで行き着かせたのは何なんだろうか。

BLというものに、さらに枯れBLの夢まで見るほどになるに至るに、一体何に惹かれて、求めるのだろうかと考えることもよくあり、たぶん“公平さ”に憧れているのかもしれない。


「そんないいもんではないよ」

幻想であることは分かっている。現実ってのは嫌なことの方が多いんです。どちらかといえば、つまらないことばかりなんです。

でも、たまにある“ああ、今日はいい日だなぁ”なんて1日のために頑張ってね、生きておるのですよ。

「まぁ、そうなんだけどさ、誰ですか?」