「かなくん、ごめんね、わたしが強かったら、何してくれてんだてめぇとか、そう言って仕返しとか、してあげれたのに、ごめんね、なんか、何も出来なくて」
「俺こそごめんな、なんかかっこ悪いな」と顔を横に向けた。
「大丈夫?」
黙り込んでいる。たぶん同じように悔しいのだろう。いや、それ以上かもしれない。
映画やTVのようにはいかないものだと思う。現実はこうもあっさりと勝負が付くのだなと。正義とか悪とか、最後は愛が勝つとか友情努力とか関係がない。殴られたほうが倒れる。ただ、それだけのことなんだ。
私なんかカッコイイ啖呵すら切れずおろおろとしてるだけで、かなくんも普通のサラリーマン。普通で十分なのに、なんでこんなことになるのだろう。
そう思った瞬間なんだか、後とか先とかどうでもよくなって、ついさっきまではおろおろとしながらも冷静だったのに何かが外れて店の外にある四角い灰皿を持ち上げてドアを蹴るようにして中に入った。
目に飛び込んだ寝癖の男に向かって思いっきり灰皿を投げつけていた。
「ふざけんじゃねぇぞ! てめぇ!!」
ああ、こんな場面。前にもあったなと思いながら。
こんなチカラがあるのだなと灰皿は放物線を描いた。
「俺こそごめんな、なんかかっこ悪いな」と顔を横に向けた。
「大丈夫?」
黙り込んでいる。たぶん同じように悔しいのだろう。いや、それ以上かもしれない。
映画やTVのようにはいかないものだと思う。現実はこうもあっさりと勝負が付くのだなと。正義とか悪とか、最後は愛が勝つとか友情努力とか関係がない。殴られたほうが倒れる。ただ、それだけのことなんだ。
私なんかカッコイイ啖呵すら切れずおろおろとしてるだけで、かなくんも普通のサラリーマン。普通で十分なのに、なんでこんなことになるのだろう。
そう思った瞬間なんだか、後とか先とかどうでもよくなって、ついさっきまではおろおろとしながらも冷静だったのに何かが外れて店の外にある四角い灰皿を持ち上げてドアを蹴るようにして中に入った。
目に飛び込んだ寝癖の男に向かって思いっきり灰皿を投げつけていた。
「ふざけんじゃねぇぞ! てめぇ!!」
ああ、こんな場面。前にもあったなと思いながら。
こんなチカラがあるのだなと灰皿は放物線を描いた。



