それすらも委ねたかった。なのに、何も言ってくれなかったまましっかりとSEXだけはすまして結局、今こうして病院に向かうタクシーの中で、手を繋ぎながら窓の外を眺めている。


天気がいいねという会話を交わしたきり、面白い建物や何かないかなと探している。

流れる景色を目で追っていた。向かっているのは病院で、それは昼までには受付を終わらせないといけないからという、彼の発した言葉から。

つい考えてしまうのは私のよく知っている庄谷奏太なら、あんな顔を私に見せないんだろうなということ。

結局、服を買いに行けなかったねという彼の言葉にも時間いっぱいまでSEXしてたからねとも言えず「うん、だいじょうぶ。これで」と笑顔で返す。