「歩太、あの・・・アドレス教えてくれる?」 私は勇気を出して、歩太に聞いた。 「俺、携帯持ってないから・・・。」 歩太が答えてくれた・・・。 ただそれだけの事が、嬉しくて、私は胸が苦しくなり、目頭が熱くなるのを感じた。 「携帯、持ってないの?・・・どうして?」 「必要ないから。」 歩太の言葉を聞いて、自分がバカな質問をした事に気づいた・・・。 歩太は珍しく、話を続けた。 「かかってくる相手も、かけたい相手もいない。」 .