光の射す方へ




「うん。いるよ・・・赤ちゃん。」



郁美は、驚くことなく、
“やっぱり・・・”といった顔をしている。



「・・・産むんですか?」



郁美の言葉に、私は頷く。



「赤ちゃんのお父さんは?・・・知ってるんですか?」



郁美は質問を続けた。




「妊娠している事は知ってる。でも、産んで一緒に育てる事はできないの・・・。」


「・・・どうして?・・・リカさん、1人で育てるんですか?それって酷くないですか?彼氏さん、・・・逃げたんですか?」





郁美は、私達の事情を、理解する事はきっと出来ないだろう・・・





「違うよ。私が決めたの。

彼の事、すごく愛してるの・・・。


だから、産むの。


彼は悪くないの・・・。

彼の事、悪く言わないでね・・・」





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