自転車を押した歩太と、家までの短い距離を並んで歩く。 6月の夜の風は、少しだけ湿気を含んでいて、お世辞にも気持ちいいとは言えないけど、今日は何故だか心地いい。 「・・・ここって・・・?」 家の下に着くと歩太は不思議そうに私を見た。 「自転車、ここに停めてね。」 歩太は、戸惑いながらも、自転車を停めた。 まだ、状況を把握出来ていない歩太の手を引いて、私は自分の部屋の前まで導いた。 そして、ドアをあけ、歩太を部屋に入れた。 .