光の射す方へ



私は、調理場に向かうと、歩太に声をかけた。



「宝来くん、休憩入ろー!」



歩太は、私の声に反応すると、洗い物をしている手を止め、こちらに歩いて来た。




「お疲れ様!!」



私は、歩太に笑顔で挨拶をすると、歩太に店のメニューを見せた。


「宝来くん、何、食べる?」



ここのバイトは、賄いが付いていて、店にあるものは、だいたい食べる事が出来る。



歩太は、しばらくメニューを眺めると、鶏丼を指差した。


「鶏丼でいい?じゃあ私は・・・鶏雑炊にするね!後、唐揚げ。一緒に食べようね」


ハンディで鶏丼と鶏雑炊、唐揚げを打ち込んで送信した。



そして、調理場に向かって

「従食、お願いしまぁ〜す!」


と、声をかける。


私は、同じ事を言うようにと、歩太の手を引いて、調理場の前に立たせた。



「従食、お願いします。」



歩太は、感情のない声で


でも、しっかりと厨房に届く声で、言った。




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