そんな声とともに振り返ると、そこには桃山竜也が立っていた。

 桃山竜也は私の幼なじみであり、初恋の相手でもある。

 小さい頃は泣き虫だった私のそばに、いつも一緒にいてくれた。

 親が忙しくて、家にいないときにもずっと私の隣で笑顔でいてくれた。

 そんな竜也の笑顔が大好きだった。

 もちろん、今も大好きだけど、最近竜也の笑顔はみていない。

 時々笑っているときもあるけど、あれは心から笑っている顔ではないと思う。

 そういえば今日は竜也と日直だ。

 いつもは用事があって、一緒にしたことはあまりないけど、今日は特に用事ないし一緒にできるかもしれない。

「結奈~、どうかした?」

 ユリにそう言われ我に返る。

「ん?何でもないよ?」

 そういい結奈と一緒に教室に向かった。

 もちろん後から女の子やら男の子やらがついてきてたけど……。