歩幅の短い優姫にあわせてゆっくり歩く。
こういうのも別に俺は嫌いじゃない。
可愛らしく舗装された小道を歩いて、
学校のはずれのその場所に連れて行く。
理事長、俺のばあさんの一言で作らせた薔薇園。
そこだけ見ると、まさかここが高校だとは思えない程の場所。
「こんなところ、あったんだ・・・。」
だろうね、この場所を知ってるのは
多分この学校では俺くらい。
みんなこんなところに来ないから。
「彗、こんなところ知ってたんだねー。」
なんとも驚いた表情をこちらに向けてくる優姫。
『まぁ、理事長の孫だからね』
「そ、そうだよねー。」
その、薔薇園に優姫を促して、
二人で足を踏み入れる。
真紅の薔薇や、黄色、ピンク、蒼、
色とりどりの薔薇がたくさん美しく咲きほこっている。

