『カップル?そ…それは、困ります。』
『何で?』
じーっと見つめる。
目を逸らす。
『何で…って!カップルは、両思いの2人。私とあなたは、カップルでも何でもないんです。それに、あなたが困る事になりますから…』
『俺が、困る事になるの?ナゼ!?俺は、手を繋ぎたかったから繋いだだけだよ。手を繋ぐのは、両思いの2人だけじゃない!!行こう。』
繋がれた手を見つめる。
手を繋ぐ。
不思議。
『あの…私じゃなくても…あなたなら…』
立ち止まる。
『俺なら、何?』
『あ…あなたなら、手を繋ぐ相手…たくさん居るじゃないですか?私は、その中の1人。あなたの事は、女子達からの噂で知っています。あなたには、追っかけが居たり…人気No.1だと言う事も。あなたと手を繋ぐ私を、憎む女子達が現れるかもしれないけど…今日だけ。この出来事は、明日になれば何もなかった事になります。明日からは、いつもの日常。今度からは、両思いの人と手を繋いで下さい。』
『俺、言わなかった?手を繋ぐ行為は、両思いだけじゃない事を!それに、明日になっても何もなかった事にはならない。俺が手を繋ぎたいと思ったのは、お前だけって!言ったら?』
突然の問いに、
戸惑う。
からかってる?
『冗談は、やめて下さい!からかうの…楽しいですか?』
『からかう?からかってるつもりはない。お前、からかってると思ってる?』


