『一緒に?それは…変な噂が流されます。断っても良いですか?』
問いかける私を、
じーっと。
『断りたい?』
『は…はい。』
『俺の“好き”を信じて貰う為には、一緒に帰る必要がある。だから…無理。』
真剣な表情で答える彼。
「好き」
その言葉は…
笑顔と一緒に消した。
あの日から。
『好きになる事も、笑顔を見せる事もない私と一緒に帰っても…楽しくないはずです。私は、断ります。断りたい!今日の事は、何もなかった事にして下さい。』
強引に手を離し、
その場から去る私。
「好き」
存在してはいけない言葉。
好きになれば、
不幸に。
笑顔を見せても、
不幸に。
自宅に着き、
御飯・お風呂の時も頭の中は…
丘の上での出来事。
頭を思いっきり振り、
消そうとしても消えない。
ずっと忘れていた言葉。


